地域の木材をつかう取り組み
森林資源に恵まれた信州において、特に豊富に育成される信州カラマツ。
寒冷地に適応するため冬に葉を落とす国内唯一の落葉針葉樹です。
信州の高原で厳しい冬に耐えながら地域の林業者によって大切に育てられる信州カラマツは
四季折々の美しい姿で成長し、優良な木材資源となって私たちにその恵みをもたらしてくれます。
信州カラマツについて
手入れの行き届いた信州カラマツの林
信州のカラマツ林から。
豊かな森林資源を育んできた日本の人工林。
広大な森林面積を誇る信州において人工林の99%が針葉樹(全国は97%)。そのうちの、実に半分以上(55%・約240,000ha)がカラマツによって占められ、その割合は飛び抜けています。(長野県林務部・H15)
松本市近郊のカラマツ林
カラマツの故郷、信州の育林の歴史。
カラマツ造林の最も古い事例は、長野県川上村。
幕府の天領で寛永年間(1624〜43)に数百町歩にわたり造林されたといいます。最古の人工カラマツ林も、長野県御代田町の国有林にあります。ここには嘉永5年(1852年)、いまから158年も前に植栽されたカラマツ林が現存しています。
北海道、山梨などにも多く植林されている国内唯一の落葉針葉樹、カラマツ。その育林の歴史は、信州から始まったのです。
伐採直後の断面から材や山林のことを推測
キーワードは、「成熟材」「晩材」と「壁孔閉鎖」。
一般的に扱いづらいと言われているカラマツですが、樹齢20年以上たった「成熟材」は螺旋木理(螺旋状に分裂している細胞構造)の傾きも落ち着き欠点は克服されています。

また成長期後半に形成される「晩材」は細胞壁が厚い。カラマツは晩材の割合が大きい為、強度の大きい材料が豊富に製材できる材木だといわれています。さらに晩材(心材)では水分を細胞間で浸透させる為にある壁孔が閉鎖する事が多く、水が内部に染み込みにくいため、材は腐りにくいのです。

蓄材量が多く腐りにくいカラマツ。外壁としての利用するのに非常に適した木材だと考えています。
製材直後のカラマツの美しい木肌
硬さと、艶やかな美しい木目。
主要針葉樹のうち、耐久性は2位(1位:ヒノキ)、強度性能も2位(1位:アカマツ)とその性能は高く、同じ針葉樹であるヒノキ(比重0.44/弾性率9.1)やスギ(比重0.38/弾性率7.5)に比べ、年輪が明瞭で、硬い(比重0.5/弾性率10.0)のが特徴です。
しかし、なんといってもカラマツの特徴はその美しい風合いかもしれません。あたたかな赤みのある色味と艶。品の良い柾目や味わいのある板目のコントラストまでも魅力的です。
工場に届いた丸太材
県産材利用の意義。
林業者が親子代々、深い情熱と長い時間をかけて「山を育てる」ことではじめて、美しいカラマツが育ち、その材を利用できるようになります。
適切な管理をされた人工林は、自然界と人間の暮らしの緩衝帯。周辺の集落と形成される「里山」が活性する事で、過疎化や高齢化という地域社会の問題だけでなく、二酸化炭素の吸収や保水、地盤形成などの環境問題などの改善が期待できます。
長野県内でも森林税の導入や企業のエコ関連活動などにより林業の促進が進められています。
地域の木材をつかう仕組みづくり
情報発信イベントでのソマミチメンバー
2015年7月 at銀座NAGANO
地域の木材をつかう仕組みを作る、「ソマミチ」の取り組み
カラマツT&Tパネルは地域の木材、信州カラマツを素材にしています。
私たちは地域の木を使う事を第一に考え、建材メーカーとしてどのように役立てるかを検討し、多くの試作を重ねながら木の外壁材としてこの木を使うことにたどり着きました。

同じように、長野県には多くの「地域の木を活かしたい」という事業者があり、山主、林業、工務店、設計業、家具メーカーなどが連携して地域団体となる「ソマミチ」をたちあげました。

林友ハウス工業もこの立ち上げから積極的にかかわり、多くの情報を共有しながら、連携することで生じる様々なメリットを活かして、地域の木材を利用する仕組みづくりに取り組んでいます。

緊張感漂う伐採の現場 製材と原木生産の打ち合わせ 山の現場から製材の現場へ
製材業と林業の連携は非常に重要です。貴重な山の木材資源は一般的な流通を想定して造材されますが、製材目的が事前にきまっていると、より質の高い造材が効率よく行えるのです。ソマミチに参加することで製材側からT&Tパネルにふさわしいカラマツ材についてリクエストをすることで、搬出される木材がより高品質になり、結果として生産されるT&Tパネルもより高品質なものとなります。
適切に見極めて丸太の製材方向を極めています 細かな桟を無数にはさみ、乾燥工程へ。 施工現場のT&Tパネル。
丸太が製材工場に届けられると、製材する寸法を検討しながら板にする方向や角度をきめて製材がはじまります。その後に長い時間かけてノウハウが蓄積した乾燥スケジュールに基づき人工乾燥。反りやワレのない美しい材になれば、モルダーマシンで材を加工して施工現場へと納入されます。
地域材のいろいろな活用を目指して。
カラマツ林の中に建てられたカラマツ材のデッキ
様々な用途への利用
地域の木材を利用することを前提にはじまったカラマツT&Tパネルの製造。その過程で得たノウハウを活かすことでこれまでは考えられなかったカラマツ製品の様々な開発を進めています。
木材は10年経てば、10年分、良い材料に育っています。
私たちは信州カラマツの構造材、床材等への利用もすすめることで、より多面的に、高い利用率でカラマツ製品を製造することを目指しています。
店舗内装材としての利用 構造材としての利用 床材としての利用
様々なカラマツ製品をつくることで、カラマツ材利用のシーンが増え、より多くのお客様に地域の木材を届ける事ができるようになりつつあります。
さらなる地域材の活用を目指して〜アカマツ材の青変木利用についての研究〜
カラマツ林の手入れと利用
もうひとつの地域材、アカマツ材の利用
信州の松本近郊では、地松といわれているアカマツの木。カラマツよりもより里にちかいところで生育しているこの木は、近年松枯れの被害をうけて広範囲にわたって立ち枯れている姿で見かけられます。
被害をうけたアカマツの木は製材した時に青く模様がはいってしまうことが多く、これまでは利用する方法があまりありませんでした。
しかしこの青い模様が時に面白い模様となってみえるために、試験的に製材したところ、展示会などでのお客様の反応から意外な好印象があることを知る事ができました。
そこで林友ハウス工業では製品開発にむけて、信州大学に強度試験を依頼。青く変色してしまったアカマツ材は強度的に劣化していないかなどを調べました。
アカマツの青変木の比較試験(信州大学) 曲げ試験による青変木の強度比較 圧縮試験による青変木の強度比較
信州大学での比較試験により、青変木は標準的なアカマツ材に比べて強度などでの変化は認められないという結果がでました。今後、林友ハウス工業ではさらなる地域材の利用を目指し、アカマツの青変木についても積極的に製品開発をしていきたいと考えています。
お問い合わせをお待ちしています。
メールでのお問い合わせ >contact@karamatsu-tandt-panels.com
お電話でのお問い合わせ >林友ハウス工業 : 0263-82-3388
安曇野の森に囲まれて、無垢木材を扱って40年
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